REPORT 2018.04.07 #culturestyle

踊り子りおんのレポート(2)ラファウ・ブレハッチ ピアノリサイタル

澄み切った音色が連れていく、「美しい」のその先。

 こんにちは、りおんです。

 今回、ポーランド人ピアニストであるラファウ・ブレハッチさんのピアノリサイタルに行ってきました。ブレハッチさんは、あの有名なショパンコンクールでの優勝者。しかも、その年の全ての副賞を同時受賞したという、まさに文句なしで世に認められるショパン弾き!だからと言って、「やはりショパンが…」なんてすぐに言われるのは嫌なものなのでしょうか? でも、素晴らしかったものは素晴らしかったのだからしょうがない。プログラム最後の楽曲だった、ショパンのピアノ・ソナタ 第2番 変ロ短調「葬送」。この演奏はきっと、私の中でずっと忘れられないものになると思います。

 

 「葬送」の最初の音をブレハッチさんが弾いた瞬間、会場の空気が変わったと感じたのは私だけではないのでは、と思っています。そうなると、あとはもう止まらない。ピアノのコンサートで涙が出てくるなんて、正直思っていませんでした。ごめんピアノ。私、なめてたわ。もちろん、他の楽曲も素晴らしかったんですよ。でも「葬送」は別次元。そう、言うなれば、“美しい”のその先に連れていってくれる演奏でした。ブレハッチさんのピアノの音は、最初からとても澄んでいるように感じられて。あぁ、これはピアノの詩人と呼ばれたショパンの曲はとても合うんだろうなと思っていました。

 

 「葬送」は、そんな彼の澄んだ音でしかできないような演奏だったような気がします。叫んでいるわけでも、訴えているわけでもなく、ショパンが当時感じていた思いや考えが、ありのままそこにあるような。それを彼の澄み切った音でやるから、嘘も虚飾も、誇張もなく、真実になってしまう感じ。

 

 もし「葬送」がプログラムの解説通り、当時の虐げられたポーランドの状況を表しているのであれば、これはポーランド人にしか演奏できない曲なのではないかと思ってしまうほどでした。だって、ポーランドのような歴史を歩んだ国は他にはない。だから、ポーランド人が感じた苦しみや哀しみを心の底から理解できるのは、同じポーランド人しかいないのではないかと。もちろん、彼とはまた違う素晴らしい「葬送」を弾く演奏家がいるのは承知の上です。でも、そのくらい彼の演奏は真に迫っているように私には感じられました。

 

 今回はショパンだけでなく、バッハとベートーベンという超有名作曲家3人の楽曲で構成されたプログラムでした。今に伝わる作曲家というのはやはりすごいもので、バッハなんて、「なぜその左手の音に右手がそう乗っかる!?」みたいなことばかりなんですよね。ベートーベンだって、「そこでそうくるか!」みたいな。全然分かり易くない。私にはまるで理解できない。あれを何もない無の状態から生み出し、違和感など微塵もなく、美しい作品として仕上げる彼らは、やはり天才の中の天才なのだと妙に納得してしまいました。

 

 何年後になるか分かりませんが、またブレハッチさんの来日公演があるのであれば、私はぜひ聴きに行きたいと思いました。個人的な希望を言えば、あの澄んだ音色が奏でるドビュッシーの「月の光」を聴いてみたい!

 

 「美しい」という領域を一瞬にして飛び越えて、その先にあるものを感じさせてくれる。そんな素晴らしい演奏会でした。

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