REPORT 2018.04.13 #culturestyle

踊り子りおんのレポート(3)世界を楽しむ音楽祭 Vol.1 北欧・エストニアの小さな秋の音楽祭

「文化都市としてのまちづくりを考える」カルチャースタイルフクオカ主催の、異文化と世界の音楽を楽しむ音楽祭シリーズがスタートしました。シリーズ第一弾は、Skypeを生んだIT先進国であり、歌う革命でも知られる北欧バルト3国エストニア。その知られざる魅力とは・・・。

 こんにちは、りおんです。

 朝晩は少し冷えてきたけれど、日差しがあるうちはまだ暖かくて過ごしやすい季節。福岡はそうだけれど、北欧の国・エストニアでは、もうすでにずっと寒くなっているのかもしれない。そんな2017年10月の後半、カルチャースタイルフクオカ初の主催イベントである「世界を楽しむ音楽祭Vol.1」が開催されました。「異文化と世界の音楽を楽しむ」をコンセプトにスタートしたこのイベント。記念すべき第1弾では、エストニアにスポットを当てました。

 

 

 

TuulikkiBartosik

初めて福岡で演奏したトゥーリキ・バートシクさん(アーティスト写真)

 

 

 

 スウェーデンであればIKEA、フィンランドならマリメッコ。こういった国々ならば比較的馴染みがあるような気がするものの、同じ北欧でもエストニアという国名を聞いて何か具体的なものを思い浮かべられる人は、あまりいないのではないでしょうか。実はあのSkypeが生まれたのはエストニア。そう、エストニアは知られざる“IT先進国”なのです。

 

 1部は、そんな日本人があまり知らないエストニアの話。日本語の通訳者・コーディネーターとして活躍されているヤンネ・ファンクさんと、エストニアの古都タルトゥにてTARTU AIRへ参加し、滞在・作品制作を行った音楽家・アーティストの桜井まみさんが語ってくれました。

 

 

ヤンネ・ファンク

流暢な日本語でエストニアを語るヤンネ・ファンクさん

 

 

 

 ファンクさんが語るエストニアの最新事情は、正直言って想像以上のものでした。エストニアにはインターネット上のIDが存在し、企業設立もすでにインターネット手続きが可能。さらには国政選挙のネット投票まで、驚くほどIT化が進んでいました。しかし、街にはビルが立ち並ぶ、というわけではなく、首都タリンの旧市街には古くからの街並みが残っていて、世界遺産にも登録されています。

 

 色んな話の中で私がもう1つ興味深く感じたのは、エストニアの人々と自然との距離の近さ。国土の約半分が森林に覆われているエストニアでは、「今週末、キノコ狩りに行こうよ」なんていう会話が、今も大学生の間で普通にされているそうです。

 

 

一部

一部はヤンネ・ファンクさんと桜井まみさんのエストニアのお話

 

 

 

 また、桜井さんが語ってくれた“森のメガホン”の中に入ってみたい!と思った人は、きっと多かったはず。森の中に設置された3つの巨大な木製メガホンは、「森の声を聞いて欲しい」という願いから作られたそう。普段聞こえないくらいの小さな音が森にはたくさんあるそうで、桜井さん曰く、「中に入ると、本当に色んな音が聞こえる」とのことです。 

 

 ちなみに、桜井さんの現在のアーティスト写真は森のメガホンで撮られていますので、ご興味のある方はぜひ見てみてください。

 

 

桜井まみ

森のメガホンに寝そべる桜井まみさん(アーティスト写真)

 

 

 

 よく考えてみれば、何も知らなかったエストニアという国のこと。驚嘆し、感心しているうちにあっという間に時間は過ぎていきました。ファンクさんが最後に朗読してくださったのは、エストニアの冬の情景を映し出した美しい詩でした。エストニア語の「音」を聞き、日本語を介することで思い浮かぶ風景に、まだ見ぬエストニアを感じた気がしました。そして、1部ラストには、静かな水面に雫が落ちるように広がるカリンバの音と共に、大切に語るように歌う桜井さんの歌。桜井さんが生み出した音楽が会場を優しく包み込み、1部は終了となりました。

 

 休憩を挟み、2部開始。2部はエストニア人のフリーベースアコーディオン奏者兼作曲家である、トゥーリキ・バートシクさんによるコンサート。いよいよ“音楽祭”の始まりです。

 

 

二部

日本でも珍しいフリーベースアコーディオン奏者のトゥーリキさん

 

 

 

 赤地に白いドット柄のワンピースで登場したバートシクさん。色白で長身、明るい髪色の彼女は、まさに北欧女性といった感じ。英語での挨拶のあと、早速演奏が始まりました。1部でファンクさんが、エストニアは歌も有名だと語っていましたが、北欧の音楽というのも一度はどこかで耳にしたことがあるのではないでしょうか。バートシクさんがアコーディオンで奏でる曲は、まさに北欧の音楽でした。明るく軽やかなメロディ。ステップが踏めてしまいそうなリズムに、自然と身体が乗ってしまう。哀愁を感じさせるような曲でも、暗くならずにまっすぐ前を向いているような強さがある。

 

 今回演奏された楽曲は、バートシクさんが作曲されたものや昔からのものもありました。時代も作曲者も違うのに、そのどれもがちゃんと“北欧の音楽”になるのが、なんだか不思議に思えてきます。聴いているうちに、私は1部でファンクさんと桜井さんが語ってくれたエストニアの自然の風景を思い出していました。山のない、平らで広大な土地。生い茂る森。地面を埋めるブルーベリー。さえぎるものなく広がる空と、大地を覆う真っ白な雪…。バートシクさんが奏でる音楽は、まさにこの風景そのもの。まるで自分が北欧の自然の中で、初夏の訪れを喜んでいるような、はたまた、真っ白な大地に佇んで頬に風を感じているような気がしてきました。

 

 中盤を過ぎるとさらに乗ってくるバートシクさん。美しく響くアコーディオンの音色は、まっすぐと高らかに、どこまでも広がっていくようでした。軽やかに駆け抜けた約40分。最後の1曲が終わると、会場は一段と大きな拍手に包まれました。

 

 そしてアンコール。桜井さんが再登場し、2人でエストニアの音楽と、なんと日本の音楽「浜辺の歌」とのセッションを披露してくださいました。桜井さんが浜辺の歌を紹介し、それを聴いたバートシクさんが「これに合う曲がある」と言って決まったセッションだったとのこと。バートシクさんが弾いたのは、その昔エストニアとラトビアの間にあった小さな国で生まれたという曲でした。

 

 

コラボ

アンコールはおふたりによるセッション

 

 

 

 遠く離れた2つの地で生まれた全く違う楽曲の融合をラストに、イベントは無事終了。2人の音楽家には惜しみない拍手が送られ、余韻を楽しむ人々の声で会場はしばし賑やかなひとときとなりました。

 

 

 

2017年10月17日(火)開場18:30 開演19:00 会場:Habit
演奏:トゥーリキ・バートシク(フリーベースアコーディオン、コンポーザー)
ゲスト:桜井まみ (音楽家、アーティスト)
司会:ヤンネ・ファンク(日本・エストニア文化交流協会)
主催:カルチャースタイルフクオカ
後援:エストニア共和国大使館、日本・エストニア友好協会、バルティックフェスタ事務局、福岡EU協会、LOVE FM
協力:ハーモニーフィールズ
企画・制作:ジャブアップ

 

世界を楽しむ音楽祭 Vol.1  北欧・エストニアの小さな秋の音楽祭

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