REPORT 2018.04.24 #culturestyle

踊り子りおんのレポート(5)バットシェバ舞踊団「LAST WORK」

わけが分からないのに、なんかすごい。とてつもなく大きくて、強い。

 こんにちは、りおんです。

 今回は、バットシェバ舞踊団の来日公演「LAST WORK」のレポートを書いてみたいと思います。…と言ったはいいものの、このレポート、書ける気がしません。なぜか。この公演で感じたことが、どうにも言葉にならないからです。

 

 私は言葉選びが好きなので、時間をかければ自分が感じたことを少しでも伝えられる言葉を探し出せることの方が多いんですよ。そのものズバリでなくても、近いニュアンスだったり、喩えとか使ったりして。だけどこの公演に関しては、それができる気がしない。そして、むやみに言葉にしていいとも思えないんですよね。そうした瞬間、何かが崩れてしまいそうで…。これほど書き手泣かせな公演はありません。でも、一人の観客としては、なんと幸せなことかと思います。

 

 バットシェバ舞踊団は、イスラエルにある世界屈指のコンテンポラリーダンスカンパニー。世界の舞台芸術シーンで、その地位を確立しています。バットシェバ舞踊団をそこまでに押し上げたのは、現在も芸術監督としてカンパニーを率いているイスラエル人振付家オハッド・ナハリンさんの力と、彼が生み出す素晴らしい作品によるところが大きいのではないかと思います。今のバットシェバ舞踊団のレパートリーはほとんどが彼の振付。

 

 ナハリンさんの作品を踊りたいと、世界中から素晴らしいダンサーが集まっています。私が彼らの公演を生で観るのは、今回が2回目。1回目は2年前の来日公演「DECADANCE」の時でした。その時も同じでした。言葉にできなかったんです。そんなことは、生まれて初めてでした。劇場が回収していたアンケートに、こう書いたのをはっきり覚えています。

 

 「今感じていることを表現する言葉が見つからなくて困っています」

 

 いや、正直なところ、今回もそんな感覚になれるなんて思ってなかったんですよ。だって、そんな作品、そうそう創れるとは思えないから。それが、またそんな感覚になったんです。なんということでしょう。

 

 さて、今回の「LAST WROK」という作品。私にとっては“衝撃”でした。すごかった。うん、すごかった。いや、具体的には説明できないですよ。何がすごかったとか、どう衝撃だったかとか。ただ、衝撃が大きすぎて、終演後すぐに動き出せませんでした。身体がものすごい揺さぶられたような感覚が残ってて、力が入らなかった。早く立たないと他の人の迷惑になるからと思って動き始めても普通に歩けないし、知り合いに会ってもまともに話せない。あの時の私は、本当に変人だったと思います。

 

 感覚だけで言えば、そう、とてつもなく大きくて強いものが、全身に入ってくる感じに近いかもしれません。そして、むこうも心に直接触ってきて、揺さぶってくる。作品が表現していることが分かったかって?いいえ、全く!!!これは、すごく自信を持って言えます!!(笑)もうね、さっぱり分からないんですよ。どうしてそうなるのか。なぜあんな表現になるのか。何を表しているのか。さっぱり分からない。

 

 でも、観終わった後に「???」とはならない。作品もわけが分からない、何を私はそんなに感じているかも分からないのに、何かを受け取っていると確信を持って言えるし、それをすごく感じて噛みしめている自分がいる。そんなことがあるんですよね。本当の気持ちを言えば、「良かった」「すごかった」「素晴らしかった」なんていう言葉では全然足りないんですよ。当てはまる言葉がないからそう言っているだけで。これ、どうしたらいいんだろうなと、ずっと考えています。言葉なんてとっくに超えちゃってるから。

 

 休憩なしの65分。ぶっ通しです。セリフも、分かり易いストーリーもない。面白くなければ、飽きるには十分すぎる条件だと思います。それを最後まで見続けさせた作品とダンサーたち。とにかくすごかったんだということだけでも、これで伝わるでしょうか?最後にダンサーたちが顔を上げた瞬間、他の人は一体何を感じたのか…。

 

 私にはそれを言葉にすることができなかったけれど、「観に行って本当に良かった」と心から思えたことが、何よりも強く確かなことだと思っています。

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