REPORT 2018.10.24 #culturestyle

踊り子りおんのレポート(7)フルック来日公演 2018(福岡公演)

ケルト民族が感じた風をまとい、ポジティブなエネルギーがホールに溢れる。

こんにちは、りおんです。

 

今回は、フルック来日公演・福岡公演に行ってきました。

 

フルックは、ケルト音楽を奏でるオール・インストルメンタル・バンド。北アイルランドとイングランド出身の4人組です。

 

過去にはBBC RADIO FOLK AWARDS(イギリスのBBCラジオ2が行っているアワードで、フォークミュージック界において目覚ましい活躍をした歌手やグループなどに贈られる)においてベストグループ賞を受賞しているとのことで、その実力は折り紙付きだと言えると思います。

 

福岡ではこれが初めての公演だったのですが、来日自体は5度目とのこと。

 

関東の方には固定ファンもいらっしゃるようで、「東京公演に行けなかったから福岡に来た!」という声も聞こえてきました。

 

ケルト音楽は、民族音楽の中でも特に有名なものの1つと言えるのではないでしょうか。

 

ケルト音楽そのものはもちろん、そのエッセンスを取り入れた“ケルト風の”音楽なんかも含めると、誰もが一度は聴いたことがあるはず。

 

とはいえそれはBGM的な聴き方で、ケルト音楽を聴くこと自体がメインとなる機会はほとんどないかと思います。

 

私もそんな大多数であろううちの1人。だから、今回の公演でどんな音楽が聴けるのか、どう感じるのかと、とても楽しみでした。

 

彼らが拍手に包まれて入場し、最初の旋律をギターが奏で始めたのは、まだ期待のざわめきが完全に収まりきる前でした。

 

本当に「導入」という感じのフレーズ。でも、私はあんなギターの音を今までに聞いたことがなかった。

 

それは、優しくたゆとうような音色。絹のように滑らか、と形容したくなる。

 

その音にはっとした瞬間、柔らかな風を感じた気がした。

 

そこに他の楽器が、観客をいざなうように加わり…

そう、とても自然に、私たちはフルックの世界に引き込まれてしまったわけです。やられた!

 

思えば私は、彼らが奏でる音楽にずっと「風」を感じていました。

 

馬の乗り、丘を颯爽と駆け抜ける姿。

軽やかに踊る足元。

緑の草原に座って佇むふたりの背中。

 

思い浮かぶ情景の中に吹く、様々な風を感じさせてくれる。きっとこれは、ケルト民族が暮らした地に吹いたであろう風。

 

そして、音楽全体がポジティブなエネルギーに満ちているんですよね。大らかで、純粋で、生きることの喜びみたいなものを感じる。もうそれだけで魅力的。

 

でもそれは、ただ単純に明るいだけではわけではく。なんというか、色々と分かった上で、って感じかな。だからこそ、目頭を熱くさせるものがある。

 

空高く舞う鳥の歌のように響くフルートやホイッスル、身体に入り込んで駆り立ててくるようなバウロンももちろん素晴らしいのですが、個人的にはギターの変幻自在さがたまらなかったです。

 

主旋律を活かすように弾いていたギターが、曲を繋ぐ時なんかにそれはそれは美しい音を奏でたり、かと思ったら激しくなったりと、もう個人的にツボ!

 

それにしても、表取りと裏取りが目まぐるしく変化するリズムがすごい。これでよく乱れないなと素人の私は思うわけですよ。

 

私なんか、音楽に合わせて手拍子しているはずなのに、気付いたらずれてるし(笑)

 

でも、リズムに縛られて固くなるわけではない。むしろその中で自由に遊んでいる。演奏者同士だけでなく、お客さんとさえも掛け合いをしている。すごいな~、プロだな~。

 

ふと観客席を見ると、リズムに乗っている人の多いこと!そこかしこで頭が動いていました。これは乗るよね~と納得。ま、私も乗っちゃってたんですが。

 

それで気付いたのですが、このコンサート、普通よりも男性のお客さんが多い。

 

音楽コンサートっていうのは女性が圧倒的多数を占めることの方が多いと思うのですが、今回はちょっと割合が違う。男性一人客もけっこういたりして。

 

ケルト音楽が持つ疾走感やカッコよさが男性を惹きつけるのかしら?とか思いつつ。

 

ところで、私は今回のコンサートで、民族音楽を聴くことはその土地を旅するのと同じことだと、改めて感じました。

 

同じように軽やかなリズムを持っていても、ケルト音楽と北欧音楽では浮かんでくる風景が違う。音の向かう先が違う感じがする。

 

日本はこういう軽やかさを持った音楽にはならなかったし(湿気のせいじゃないかな?と個人的には思っている)、着物では足踏みでリズムも取るに取れないだろうと(ちなみにフルックの音楽では、足踏みは5つ目の楽器のようだった)。

 

地理、気候、服、生活、民族性。民族音楽には、そういう“民族のルーツ”みたいなものがぎゅっと凝縮されているんだなと思うのです。

 

えーこういったことは専門家の方々が詳しく研究されていると思うので、ボロが出る前にここでやめておきます…。

 

アンコールまで合わせて2時間ほどでしょうか。感覚的にはあっという間で、もう少し長くてもいいのにな~と思ったくらいでした。腹八分目くらいのちょうどよさですね。

 

コンサート終了後、会場にはCDを買い求める人でごった返していました。また聴きたいと思わせる音楽でなければ、こうはならないと思います。皆さんもきっと腹八分目だったのでしょう。

 

日本の福岡という遠く離れた地に、ケルト民族が感じたであろう爽やかな風を吹かせてくれた、心地よいコンサートでした。

MANUMAUGAIN

OTHER

RELATION

© Culture Style